ウエルビジネスデザイン株式会社は

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メッセージ

2024年5月15日
【お知らせ】

都合により当面の間は、コラムを休載とさせていただきます。
何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

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2024年5月1日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
人としての成長を願う「器」VOL.147

●日々と異なる景色で気持ちを変える

毎日、仕事に追われていると、来る日も来る日も同じ景色を見ることになりがちです。それでは気分転換がしにくい上、新たな発想を生み出しにくいのではないかと思います。特に事業環境が目まぐるしく変わる中では、従来の発想を超えたアイデアが必須である現代、普段と異なる景色に触れる機会を増やす必要があると思います。

ありふれたことではありますが、自然の中に身を置くことが日常とは異なる景色を見る上で大切なことです。理想を言えば、休日に山や海などに出かけるのが一番です。多くの人が旅行に心をひかれるのも、異なる景色で気持ちを変えたいという願いに基づくものでしょう。また、遠方に出かける機会が少ないとしても、家の外に出かけて散策することだけでも仕事場以外の景色を目にすることができるはずです。

普段と異なる景色に触れるとは、目で見ることだけではありません。音を聞く、匂いをかぐ、手で触れてみるなど、五官を活かした触れ方があるはずです。外に出る時間が限られるとしても、植木鉢やプランター、水槽、ペットなどの手入れや世話を通じて自然の営みに触れる機会をつくることができます。

もうひとつ、普段と異なる世界に触れることができるのが読書です。書籍を通じて場所も時代も自在に超越し、あたかもそこにいるかのような体験ができます。現代では書籍に限らず、映画やアニメ、ゲームなどさまざまなメディアがあるものの、読書の価値がなくなったわけではありません。むしろ活字を通じて自らの脳の中で世界を描いていくのは楽しいものです。仕事の帰りや休日に書店にふらりと寄って、本棚をあちこち物色するだけでも普段と異なる世界の扉を開くきっかけとなります。

さらにお勧めなのが、地域の図書館の利用です。書店と異なり、図書館には何十年も前に発行された膨大な数の書籍が眠っています。偶然目についた一冊との出会いが自らの世界を大きく広げる機会になるかもしれません。日常から脱するための異世界の扉は案外、身近なところにあるものです。

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2024年4月15日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
「ビジネストークのネタ」VOL.146

●構造改革の後にゲームチェンジの予感

コロナ禍の数年間、業種によってはたいへん厳しい状況に直面しました。一方で、厳しい時期において経営のあり方を抜本的に見直し、課題から目をそらすことなく構造改革に取り組んだ企業が少なくありません。2024年に入って、痛みをともなった構造改革に真剣に取り組んだ企業の中から新たな成長機会に向けた動きが具体的な形として現れつつあります。

その中には、成熟市場といわれる製造業が含まれており、今後の展開に期待が持てます。構造改革といっても、生産拠点の整理、縮小といった守りの取り組みだけでなく、新たな成長を意図した攻めのものがセットになっている点が特長です。中には、技術が成熟していて、革新的な製品は出にくいと思われていた製品分野において、ゲームチェンジャーというべき画期的な製品が姿を現しつつあります。これは一社、二社に限ったことではなく、2024年は時代の節目となり得る重要な年といってよいのではないでしょうか。

(続く)
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2024年4月15日
(「ビジネストークのネタ」VOL.146続き)

もっとも、どの企業も構造改革で成功しているとはいいがたく、波に乗れない企業においてはこれからの時代、厳しい局面が待っているといえます。上場企業においては株主、投資家の目がますますシビアになっており、場合によっては株式市場から退場を余儀なくされる事態が起こりえます。また、上場企業していない企業であっても、顧客からの要求に応えることができないと、最悪、サプライチェーンが閉め出されるといったことがないとはいえません。

これからの時代、生き残れる企業の条件としては、競争力の高い製品、サービスの充実といった経済価値の創出はもちろんのこと、カーボンニュートラル、人的資本経営、コーポレート・ガバナンスの強化といった社会課題に真摯に対応していることが挙げられます。これは中小企業には関係ないではなく、むしろ中小企業の方が敏感に反応していくことが求められます。その点、日本社会にありがちだった横並びの経営は終焉の時期を迎えています。これから先は同業他社の動きを横目でみて足並みをそろえるのではなく、すべての課題に対して一歩でも先んじた取り組みが必要となっていきます。
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2024年4月1日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
人としての成長を願う「器」VOL.146

●仕事で求められる資質

近年、企業では株主や投資家に対して、企業価値の向上に向けた取り組みを伝える努力が欠かせなくなっています。それも株主配当などの経済的価値のみならず、社会の課題に応える社会的価値の両立が重要とされます。企業は儲けさえすれば、それでよいという時代ではなく、事業を通じた社会貢献が求められています。昨今はやりのSDGs(持続可能な開発目標)への貢献をめざすまでもなく、企業によっては古くから「世のため、人のため」を追求してきたところが少なくないわけですが、今さらのごとく経済的価値と社会的価値の両立が盛んに取り沙汰されている時代です。

人の集合体である企業の価値向上が求められるということは、個人の価値向上もまた求められるということでしょう。企業活動における人の価値といえば、第一には仕事の能力ということになります。そのために企業は少しでも優秀な人材の獲得に向けて努めてきました。従来、仕事の能力を計る指標として重んじられてきたのは学歴です。高い学歴=優れた能力という理解のもと、出身校で人を選別する仕組みが長年にわたって続いてきました。過去においては合理的な仕組みだったのかもしれませんが、時代が変わる中で、それだけでは通用しない状況が生まれています。

(続く)
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2024年4月1日
(人としての成長を願う「器」VOL.146続き)

特にダイバーシティ・エクイティ・アンド・インクルージョン(多様性および公正性、包摂性)などといわれる時代において、人材の多様性がますます重視される中で、特定の出身校に片寄った採用活動は正解とはいいがたいものがあります。そもそも学歴偏重で人材を募集することが、経済的価値と社会的価値の両立に向けて正しく機能するものなのか、大いに疑問です。業務の遂行のための知識や技術、技能が必要であるとしても、それだけで十分とはいえません。自らの仕事が社会のためにどのように役立つものなのかという視点を持ち、一層役立つために培うべき資質は何であるのか、という視点が必要です。

仕事を通じて社会に貢献するというと大げさな話と思われるかもしれません。しかし、たとえ小さなことでも「自分の仕事は世の中の役に立つことができる」という視点を持つことによって、新たな気づきが得られるとともに、仕事の可能性を広げるきっかけになります。試しにSDGsで掲げられている17の目標を眺めて、自らの仕事との接点を想像してみるのはいかがでしょうか?

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2024年3月18日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
「ビジネストークのネタ」VOL.145

●展示会の出展効用

事業を持続的に成長させていくためには、当然ながら顧客層を厚くしていく必要があります。そこで各社とも、商品やサービスの特長を訴求するとともに、競合とQCD(品質・コスト・納期)をめぐる競争に立ち向かっています。一方では、自社の特長、強みを明確に打ち出し、顧客への浸透を図っている企業が多数あり、他方では特長や強みを打ち出せずに悩んでいる企業もまた少なからず存在します。

事業を続けている以上、どのような企業においても特長や強みがあるはずで、ここを明確にし、より研ぎ澄ましていくことで、新たな活路を見出すきっかけとなります。特長や強みが明確になっていないのであれば、経営者が率先して考える機会を設けるべきです。

事業の特長や強みを無理やりでも考える機会を設ける上で役に立つのが、展示会などへの出展です。最近では民間が主催する展示会に加えて、都道府県や商工会議所などが開く展示会も増えていて、場合によっては安価な出展料で参加することができます。こうした機会は大いに活用すべきです。

(続く)
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2024年3月18日
(「ビジネストークのネタ」VOL.145続き)

出展の利点は来場者に商品やサービスを訴求することができる点が第一です。それとともに自分たちの特長、強みを考え直すきっかけとなる点も見逃せません。出展に際してはポスターなどの展示物を用意しなければなりませんが、それに掲載するキャッチフレーズを考え出す過程は、まさに特長、強みを集約したものです。

考案の過程では、(1)展示会の目標を明確にし、(2)訴求商品を絞り込む、(3)商品の特長、強みを打ち出す、(4)見込み客層を想定、(5)見込み客層が抱える課題も想定、(6)以上を踏まえて、展示会で訴求すべき点を簡潔にまとめる、といった点を箇条書きでまとめます。最初からアイデアがすぐに出るわけではなく、社長一人の考えだけでは必ずしも適切なものとはならないことから、従業員との話し合いを通じて、考えをまとめていくのが得策です。

(1)から(6)の過程は、単に展示会のポスター制作に役立つだけでなく、今後の事業計画の要点ともなるものです。これをまとめることによって、持続的な成長に向けたきっかけを見出すとともに、従業員と考えを共有することで新たな施策を打ち出すことにつながっていきます。その気になれば、今すぐにでも取り組めることから一考の価値があるといえます。

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2024年3月1日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
人としての成長を願う「器」VOL.145

●早寝早起き病知らず

男女ともに平均寿命が80歳を超えている日本。仮に65歳で仕事を辞めたとして、そこからゆうに20年以上の年月を過ごすことを真剣に考えなければならない時代となっています。経済面もさることながら、老後期間をいかに健康に過ごすかが重要です。一方で、60歳を過ぎたあたりから人間ドックで指摘事項が出てくることが多く、健康寿命の延伸に向けて長期的な観点から日常生活を考えることが欠かせません。

老後における健康の維持に向けては、当然ながら良質な食事や睡眠、運動といった日常習慣が大切となります。この中で最近、注目されているのが睡眠です。良質な睡眠を確保することは心身の健康に欠かせないものであり、老後期間における認知症のリスクを下げる上でも必要とされます。一方で、睡眠障害を含めて、良質な睡眠を確保するのが難しいという人が少なくないのが現代です。

長時間の仕事を背景に睡眠時間を確保するのが困難であることをはじめ、仕事や生活におけるストレス、過度な飲酒などで不眠症などの睡眠障害に悩むといった状況は、日本に限らず世界的な傾向とされています。こうした課題に対しては、寝具や健康食品、電子機器、ウエルネス関係の企業がさまざまな提案を行っており、スリープ市場が活況を呈しています。

睡眠の質を改善するためにさまざまな商品やサービスを利用するのは一手ではあります。しかし、尽きるところ、自らの生活習慣を正すことが大切です。そして、その基本となるのは朝は早めに起きることかと思います。朝の始動が早い分、一日の時間をより充実に使うことができ、夜は自ずと早めに寝るようになるものです。今どきはすっかり聞かなくなりましたが、「早寝早起き、病(やまい)知らず」は現代においてこそ大切な教えではないでしょうか。

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2024年2月19日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
「ビジネストークのネタ」VOL.144

●儲けの構造を見直す

中小企業の交流会に参加すると、当然ながら多種多様な業種の経営者と顔を合わせます。その中では、だれもが知っている業種もあれば、名刺交換しただけではまったくわからない業種もあります。会話を通じて、業種それぞれに儲けの構造があることがわかり、それを知るだけでも交流会に参加する価値があると感じます。

特に興味深いのは、事業内容をよく聞かないとわかりにくい業種の儲けの構造です。企業経営においてはニッチ市場(専門性が高く、競合が生まれにくい市場)の開拓が重要としばしば指摘されます。その点、正体がつかみにくい中小企業の多くがニッチ市場で強さを発揮しており、中にはまさにニッチトップの企業も少なからず存在します。

真にニッチトップであるならば、市場において圧倒的な競争優位を背景に、利益率の高いビジネスを展開することが可能となります。数は少ないとはいえ、営業利益率が50%といった超優良企業が存在するのも事実。これは極端な例としても、儲けの構造に対する意識を高めることは経営の改善に欠かせないものです。

岡目八目のたとえ通り、他社の実状はよく見える一方、自社のことになると意外にわかっていないものです。儲けの構造が現状どうなっているのか、売上高および営業利益率を上げるにはどのような取り組みが必要なのか、今一度整理してみるのは重要なことです。ビジネスを手がける以上、粗利や営業利益について感覚的にわかっている経営者は多いはずですが、正確な数字としての実態を知ることで、経営改善に向けた一歩を踏み出せるものです。

(続く)
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2024年2月19日
(「ビジネストークのネタ」VOL.144続き)

一例として、忙しいわりに利益の残らない経営に悩んでいた中華料理店が、数字の実態をもとに食材の無駄をなくす取り組みを進めたところ、営業利益の改善につながりました。その中には調理法の見直しがあげられます。たとえば、チャーハンを炒める際、中華鍋から米が外に飛び散らないようにしてロスの削減に努めました。まるで小さな取り組みに見えますが、たとえ数粒の米のロスといえど、年間で算出するとけっして侮れないのです。

しかも、米に限らず、すべての食材の無駄を排したことで、売上高は変わらなくても手元に残るお金が増える結果となりました。さらには、無駄の排除に対する取り組みはサービスやクリンリネス(衛生管理)に対する意識の向上にもつながり、結果的にきれいで雰囲気の良い店づくりをめざす中で来店客の増加をもたらしたのです。

確定申告の季節を迎え、今こそ自社の儲けの構造を見直す好機です。まずは経営者が自ら自社の数字に向き合うとともに、必要に応じて税理士や中小企業診断士などからの助言を得るのもよいかと思います。
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2024年2月5日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
人としての成長を願う「器」VOL.144

●なるべく手間をかけない料理

最近、若い世代の人々と話をすると、男女を問わず、自ら料理をつくっているという人に出会います。その割合は多くはないのかもしれませんが、限られた時間の中であれこれ工夫をしながら食事をつくっている話を聞くと興味深いものがあります。若い世代は料理などいっさいせずに惣菜を購入したり、外食で済ませたり、などというのは大きな間違いであることに気づかされます。

20歳代の男性は朝食にオートミールを食べることがあるそうです。どのように調理するのかと聞くと、電子レンジに加熱すれば、簡単に食することができるのだとか。なるほどなあ、と感心します。最近は出汁に興味を持ちだしたそうで、これもまた電子レンジを用いて、かつお節から出汁を引いているとのこと。タイムパフォーマンスの略である「タイパ」の世代にふさわしく、時間をかけない一方で、伝統的な食材の良さを活用して、食生活を組み立てている人がいるのです。

仕事や家事、子育て、介護などを抱えていると、料理に時間を割くわけにいかないのが現実です。とはいえ、忙しい毎日だからこそ、充実した食生活が重要といえます。調理にかかる時間をできるだけ少なくする。調理器具の洗い物も極力少なくする。こうした観点から包丁やまな板を用いない簡便な調理方法が人気を集めており、時代の変化を感じざるを得ません。

なるべく手間をかけずに料理をつくることが主流となる一方、料理に慣れてくると調理器具や食材に対する関心を持つ人が出てくるものです。そして、おいしい料理をつくろうとすると、それなりに時間と手間をかけることの大切さに気づきます。調理にかかる時間は無駄ということはなく、むしろその時間を楽しむことが自らの豊かな暮らしにつながっていくものです。プロの調理人をめざさないまでも、自分自身や家族が満足する料理をめざすのは、人生において大切なことではないかと思います。

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2024年1月19日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
「ビジネストークのネタ」VOL.143

●想定外の事態への備え

1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」は、日本のどこにおいても甚大な被害をもたらす地震が起こりうることを示すものとなりました。被災地に対する復旧支援に力を尽くすのは申すまでもないとして、加えて重要なことは今後起こりうる巨大地震への備えです。特に南海トラフ地震や首都直下地震など、大都市での地震がいつ起こってもおかしくない状況において、一人ひとりが備えるべきことを一つでも多く実行することが必須といえます。

事業に関するリスクは、地震や台風、山火事などの自然災害をはじめ、感染症やテロ攻撃など多岐にわたります。こうした緊急事態が生じると「想定外」と言われることが多いものの、日頃から想定外を含めて「最悪の事態」に備えることが、事業の継続に役立つこととなります。まずは自社を取り巻く環境の中で、どのようなリスクが生じうるのか、リスクを洗い出し、リスクがもたらす影響を考えることから始めるべきです。

そして、BCP(事業継続計画)が企業の大小を問わず欠かせないものといえます。第一に人命を守る観点から災害対応計画を練り、従業員の安全確保をはじめ、避難方法の確保、安否確認、事業の継続方法の検討などを行う必要があります。防災用品の備蓄や連絡手段の確保など、今すぐに取り組めることはいくつでもあります。緊急事態への備えが充実するほど、いざという時に事業の継続を可能とすることができます。また、従業員と意識の共有を図ることで、一人ひとりが安心して業務に就くことができます。

さらには、取り組み状況を顧客や取引先に対して伝えることが、企業としての信頼醸成につながっていきます。有事を想定して平時に備えることは企業体質を強くし、ひいては業績の向上に結びつきます。この一年、「最悪の事態」が仮に生じたとしても、その影響を最小に食い止められるように、事業者自身が意識を一段高めることが求められます。

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2024年1月1日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
人としての成長を願う「器」VOL.143

新年おめでとうございます。
旧年中は格別のご高配を賜り、心より御礼を申し上げます。
皆様のますますのご繁栄をお祈り申し上げますとともに、
本年も変わらぬご愛顧のほど、お願い申し上げます。

●エイジレス時代の到来

人口動態の推移は、ほぼ確実に読める未来といわれます。その典型が少子高齢化であり、今後数十年間の人口の変化はよほどのことがない限り、推測通りに進むはずです。また、高齢化については、平均寿命の伸びが頭打ちとなっているものの、男女ともに80歳を超えています。世間では「人生100年時代」などといわれており、これはやや過大表現のように思えるものの、少なくとも健康寿命とされる70歳超に向けて、どう生きるかが大きな課題となっています。

仮に70歳半ばまでを「心身ともに自立し、健康的に生活できる期間」とした場合、それまでの人生設計が重要なものとなります。一方で、企業の多くが定年を60歳〜65歳としている中で、60歳からの10年、20年をどう生きるかは一人ひとりが早いうちから考えておくべきことです。心身ともに健康であったとしても、「退職してから毎日やることがない」では充実した人生とならないかもしれません。

(続く)
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2024年1月1日
(人としての成長を願う「器」VOL.143続き)

かつて中高年というと公私ともに活動量が徐々に減っていくイメージではなかったかと思います。しかし近年は、そうした先入観を打ち破る活発な中高年が登場しつつあります。50歳代、60歳代で趣味に熱中したり、起業に挑戦したり、勉強に取り組んだりといった人々が少なからず登場しています。今後、こうした傾向はさらに顕著になっているのではないかと推測できます。

もっとも、何も準備をせずに定年後に新しいことを始めるのではなく、中高年となる前から助走することが必要ではないでしょうか。若いうちから自分なりの価値観を培い、やりたいことに取り組む姿勢を持つことが、中高年となって以降、新たな挑戦の土台となるはずです。

エイジレスという言葉は1980年代ぐらいには登場していました。高齢社会に突入している日本にあって、年齢に関係なく活躍する人生を追求する姿勢がようやく脚光を浴びる時代となってきたように思います。特にコロナ禍を乗りこえた2024年以降の社会では、自分の人生とどう向き合うかが大きなトレンドとなっていくでしょう。

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2023年12月18日
【年末年始休業期間のお知らせ】

本年の年末年始休業は以下の日程となっておりますので、
お知らせいたします。

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■休業期間
2023年12月29日(金)~2024年1月4日(木)
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皆様にはご迷惑をお掛け致しますが、何卒ご了承の程宜しくお願い申し上げます。

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2023年12月18日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
「ビジネストークのネタ」VOL.142

●手順を制する者がビジネスを制する

社会の中でAIが急速に浸透しようとしている現在、仕事や家事の自動化、省力化が進むものと考えられます。一方で、AIに基づくソリューションを筆頭に、多種多様なアプリが生まれている中、その導入や運用で意外に手間がかかるようになっています。IT分野のプロであれば、それほど難しいことでないものでも、一般的なリテラシーしか持ち合わせない人にとっては高いハードルとなることがあり、それが利用の妨げになりかねません。

たとえば、電子メールのセキュリティに関するアプリを導入しようとすると、アプリのインストールから始まって、メールサーバーの設定変更、さらにはクライアント側の設定変更を一つひとつ正確に行わなければなりません。マニュアルに従って作業を進めていけばよいのですが、途中で何かにつまずくと先に進むことができず、ハードルを越えるのに時間を要することがあります。

たとえば、マニュアルに「DNSサーバにSPF情報を追記」と記載されているものの、一般人には何のことかまったくわかりません。設定画面をあちこち探し回ったり、ネット上で検索したり、あげくヘルプデスクに連絡して質問したりと、手間がかかる上、ストレスを抱えることになります。答えを知ってしまえば実は簡単なことなのですが、そもそも設定画面に行き着くまでがひと苦労です。

(続く)
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2023年12月18日
(「ビジネストークのネタ」VOL.142続き)

最近はノーコード開発をうたい文句にしているアプリが多数登場していて、これらは便利である反面、実務レベルで開発、運用するには確かな知識と経験が必要です。プログラミングの知識は必ずしも必要ではないのかもしれませんが、目的のものを開発する上での手順が見えていないとゴールに行き着くのは容易ではありません。

機器や設備の自動化、オンライン化が当たり前となる中、便利である反面、利用のための手順に精通することが成功の鍵といえます。もしくは、だれでも容易に理解できる手順書をつくることが必須の時代です。特に現場で瞬時に設定を変更しなければならない状況においては、手順に関する知識の有無が仕事の成否を左右します。逆に言えば、どの分野においても手順に通じたプロとなることが、これからのビジネスにおいて求められています。

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2023年12月1日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
人としての成長を願う「器」VOL.142

●喪中はがきの季節

師走に入り、喪中はがきを受け取る季節となりました。また、郵便局では喪中はがきを買い求める姿を見かけます。喪中はがきは一年間において近親者が亡くなった際、喪に服することの一環として年賀状を控える代わりに出すものです。服喪で新年の慶賀を控えるのは、江戸時代の五代将軍、徳川綱吉が出した服忌令(ぶっきれい)に由来するとされており、忌引(きびき)などと同じく、300年も前から始まった風習が現代においても根強く残っているわけです。さらに言えば、服喪の風習は平安時代にさかのぼることから、1000年の歴史の中で伝えられてきたものともいえます。もっとも、年賀状を出す習慣が失われつつある現代においては、喪中はがきを出す人もまた減っていくことでしょう。1000年続いた価値感がこの先、どう変わっていくのか、興味深いところです。

ここ数年、コロナ禍を背景に社会の価値観が急速に変わりつつあることを実感せざるを得ません。これまで当たり前と思われてきたことがそうではなくなったり、新たなものに移り変わっていったりと変遷が著しくなっています。喪中はがきにしても、正月とはこうあるべきという価値観が大きく変わりつつあり、言わば正月の平日化といった流れが進む中で、そのあり方が変化しているように思えます。かつては大みそかと言えば、おせち料理をつくり、家族全員が集まって、テレビの歌番組を観ながら除夜の鐘を聞くといったことが、ありがちな光景だったかもしれません。しかし近年、おせち料理は家でつくるのではなく、テレビ通販で購入する方が多数派になりそうな勢いであり、家族全員がこたつに入ってテレビ番組を観ることから、一人ひとりがスマートフォンで好みのコンテンツを観るのが一般的になりつつあります。どちらが良い悪いではなく、時代の移ろいとともに暮らしの習慣もまた大きく変わっていくものです。

(続く)
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2023年12月1日
(人としての成長を願う「器」VOL.142続き)

大切なことは変化に対応しつつも、自分なりの価値観を持つ、守るということではないでしょうか。おせち料理は食材を買いそろえて手間をかけてつくるものというのもありでしょうし、年賀状を一枚一枚手書きで仕上げて送る人もいます。世間の風習や価値観に流されるのではなく、自分がこうしたいという思いを大切にしながら、自分なりに納得できるものを考えていく。この中から新たな習慣が生まれてくるような気がします。

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2023年11月17日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
「ビジネストークのネタ」VOL.141

●電子帳簿保存法への対応

2024年1月1日より、改正電子帳簿保存法に基づき、電子取引情報の保存ルールが大きく変わります。簡単に言えば、従来、請求書や領収書などは紙で印刷したものを原本として保管できたのに対して、年明け以降、電子帳簿保存法が定める要件に従って電子的に保存しなければなりません。

言い方を変えると、請求書などの取引関係書類は印刷して保管することができなくなるのです。しかも、新たなルールはすべての事業者が対象であり、法人はもちろん個人事業主も対応しなければなりません。2023年12月31日までは、紙での対応が認められていて、プリントアウトした請求書や領収書を用いることができるとはいえ、改正電子帳簿保存法への対応は早い方が得策です。

改正電子帳簿保存法のこれまで経緯をみると、当初は2022年1月に施行されるはずでした。ところが、日本では事業者の多くが紙を基本とした経理処理を行っており、すぐの対応が難しいという社会背景のもと、電子取引のデータ保存の義務化に向けて2年間の「宥恕(ゆうじょ)措置期間」が設けられました。これが過ぎることで、年明けから電子保存の義務化が始まります。

もっとも、個人事業主を中心に取引情報の電子保存に対する理解が十分に進んでいるとは考えにくい状況です。これに対して、「相当の理由があると判断された場合、かつダウンロードの求めや出力書面の提出に応じられる場合」、2024年1月以降であっても引き続き電子保存が猶予されるとのことです。ただし、これはあくまで例外と考えるべきでしょう。

近年、クラウド会計ソフトの普及にともない、電子保存に対応している事業者が増えています。これによって、書類を紙で処理するために必要なコストや手間、保管場所を大きく減らすことが可能であり、経営の効率化を進める上で改正電子帳簿保存法への対応は欠かせないものです。単に法律への遵守として考えるのではなく、経営の品質を高める観点から電子保存に取り組むべきです。

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2023年11月1日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
人としての成長を願う「器」VOL.141

●忘年会はもはや必要ない?

最近、ある調査で今年の忘年会の実施予定について企業に尋ねたところ、実施予定は約半数にとどまるという結果が出ました。2社に1社という数字を多いととらえるか、少ないととらえるか、人によって評価はさまざまでしょう。かつては、どこの企業においても何らかの形で忘年会を開くことが当然とされてきたことを考えると、その風習は廃れつつあるといってよいのかもしれません。

若い世代を中心に必要性がないと思われがちな忘年会ですが、その意義がまったくなくなったかというとはたしてどうでしょうか。季節や年度の節目に経営者と従業員が集まり、お互いの気持ちを通わすことは必ずしも意味のないことではないように思います。メールやコミュニケーションツールでの連絡、そしてオンライン会議が一般化する中で、同じ企業で働く人が直接接する機会が減りつつあります。業務の効率化や働き方改革の観点から、こうした仕組みを利用するは大切である一方、対面での意思疎通もまた欠かせないものです。

メールやオンライン会議でのやりとりでは思いをうまく伝えるのが難しいという話をしばしば耳にします。文字や音声通話ではお互いの気持ちが伝わりにくいのに対して、直接会って話を交わすことで以心伝心ということはよくあることです。特に仕事の段取りがうまくできていない案件などでは、たとえ時間と手間をかけたとしても直接会ってお互いの考えを伝えることが重要です。

忘年会が必要ないという背景には、従来の年中行事が形式的なものに陥っていて、肝心なお互いの気持ちを交わすという目的が欠けているからかもしれません。本来の趣旨に立ち返って忘年会の必要性を考え直すことで、会社に所属するだれにとっても有意義なものとなるのではないでしょうか。

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2023年10月16日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
「ビジネストークのネタ」VOL.140

●ハードウエアとソフトウエアの分断

あらゆる製品やサービスが情報通信技術(IT)の力を借りて、より便利なものとなっています。これはたいへんけっこうなことですが、メーカーが製品やサービスの開発に注力している一方、販売店やサービス網がその流れに十分ついていくことができていない場合があります。いわば、ハードウエアとソフトウエアの分断といった課題が生じています。

その一例が自動車ではないかと思われます。ここ数年、電動化の流れとともに、IT化が急激に進行しています。運転支援や緊急通報、Wi-Fiなどの機能は、ドライバーに安全安心と快適さを提供する、今やなくてはならないものとなってきました。一方で、機能が充実する中で、新車が納品された際、ドライバーは多数の機能を正しく理解して設定する必要があります。

しかし、納車時、ITに関わる機能に関してディーラー側の説明が十分かというと、果たしてどうでしょうか。場合によってはアプリの設定方法などについて、営業担当の知識が乏しいだけでなく、「ソフトウエア関係はお客様の方で対応して」という対応が見受けられます。アプリのインストールでは個人情報の入力が必要であるからドライバー本人が行うべきであるのは仕方ないとしても、新車を乗り始めるにあたって、インストールや設定が必要なアプリやシステムが何であり、それぞれの手順についてより親切な助言があってもよいかと思います。

(続く)
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2023年10月16日
(「ビジネストークのネタ」VOL.140続き)

特にドライブレコーダーや緊急時の通報装置などの設定は安全安心に直結することだけに、新車に乗り出す前に設定を済ませておきたいのがドライバーの心理です。ところが、新車に乗って帰る際、メモリカードを渡されるだけでは安心して運転できません。もちろん、ソフトウエアのインストールや設定を徹底しているディーラーは少なからずあるかと思います。しかし、従来の販売やサポートから抜け出せないディーラーが存在するのも事実です。ドライバーとしては、新車を持ち帰ってから、分厚い取扱説明書をめくったり、ネット検索で設定方法を調べたりという手間はなるべく避けたいのです。

こうした状況は自動車に限らず、家電製品や生活サービスなど広い場面で見受けられます。見方を変えると、ITに対する徹底した情報提供やサポートが製品やサービスの差別化につながるといえます。IT化の先にするDX(デジタルトランスフォーメーション)にしても、利用者の目線で進行しているか、注意深く見ていく必要があります。

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2023年10月5日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
人としての成長を願う「器」VOL.140

●人生における介護の問題

若い世代の方には一見、関係ないことのように思えるかもしれませんが、人生において家族などの介護は大きな問題となることがあります。たとえば、結婚している場合、将来、実の両親と配偶者の両親の最大4名の介護が必要となる場合があり得ます。また、結婚していなくて兄弟姉妹もいない場合、両親の介護を一人で担わねばならない可能性が出てきます。どのような場合であれ、親一人を介護するだけでも家族にとっては大きな負担となるのは間違いありません。

さらには、自分自身や配偶者、兄弟姉妹などが歳をとってきた場合、老老介護の問題も出てきます。若いうちは「介護なんて関係ない」「だいぶ先の話だから心配しても仕方ない」と思いがちですが、だれもが必ず歳をとることを考えると、介護と無縁で一生を過ごす人は少ないかと思います。将来の不都合な真実にはだれでも目を向けたくないものですが、その時がやってきたらどうすべきか、を早いうちから考えるのはけっして無駄なことではありません。

(続く)
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2023年10月5日
(人としての成長を願う「器」VOL.140続き)

介護は歳をとってからの問題とばかりはいえません。若くても病気や怪我で突然、介護が必要になることもあり得ます。現在が健康だから大丈夫とはいえないはずです。近年は未成年の子どもが家族の介護を担うヤングケアラーの存在が問題視されるようになっています。容易に解決できることではないものの、介護の問題を社会全体でとらえることが必要であります。

親の介護については、人によって要介護度が異なる上、家族ごとに状況や価値観が違うため、何が正解かを安易に述べるべきではありません。あえて理想を挙げるならば、介護が必要となる前から家族関係を可能な限り良好にしておくこと。そして、親の介護が必要な世代となってきたら、健康状態の把握やかかりつけ医の確保など早め早めに手を打つことが肝心です。多くの人の場合、子どもが仕事などの負担が重くなったときに親の介護が突如として生じます。仕事と介護の両立は本当に大変であり、やむなく仕事を断念せざるを得ない人も多数います。こうした厳しい現実がいずれ起こるかもしれないという前提のもと、折に触れて家族で話ができる関係づくりが大切といえます。
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2023年9月21日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
「ビジネストークのネタ」VOL.139

●3年でビジネスの環境はガラリと変わる

ここ数か月、企業の大小を問わず、さまざまな業界の経営者と話をする中で、必ずといってよいほど耳にするのが「この3年で事業の環境が大きく変わった」という点です。「以前の考え方では事業の成長が難しくなっている」という話もしばしば聞くことです。背景として、コロナ禍の影響があるのは当然として、そればかりとはいえません。DX(デジタルトランスフォーメーション)に象徴される情報通信技術の影響が大きいほか、国際情勢が商取引におよぼす影響も無視できません。さらには少子高齢化、地球温暖化などがさまざまな業界に変化をもたらしています。

実感として、変化のサイクルが短くなっている上、変化の度合いも大きくなりつつあります。それはあたかも気候変動に似ています。いわゆるゲリラ豪雨がどこの地域でも頻繁に起こり、しかもいったん降り出すと経験したことのない雨量が短期間に生じるのと同様に、ビジネスの環境もある日を境にしてあっという間に変わってしまいかねない。こうした状況が今後、当たり前になっていくのかもしれません。

成功するビジネスモデルを築くことは容易ではありません。加えて、ビジネスモデルを苦労して生み出したとしても、それがかつてのように10年、20年と続くとは限らない時代です。これまで以上に、市場や技術の変化に応じてビジネスモデルを変えていく、もしくは新たなビジネスモデルの創出に挑むことが求められます。既存のビジネスモデルにこだわっていては衰退のリスクに直面しかねない一方、失敗を恐れることなく新たな価値の創出に挑み続けているところは、新たな成長の機会を得る確率が高まります。

この先、3年後、5年後を考えたとき、現在とはまったく異なるビジネス環境になっていても不思議ではありません。それどころか、天変地異や地政学リスクを含めて、想定外の事態が生じることにも目配せが欠かせないといえます。変化に対して必要以上に悲観する必要はない一方、事業周辺の小さな変化には敏感になり、来るべき大きな変化に備えていくのが大切です。

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2023年9月1日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
人としての成長を願う「器」VOL.139

●JXで新たな自分の発見へ

昨今、どこの企業でもデジタル・トランスフォーメーション(DX)の真っ最中。そのわりに現場の対応は熱心と言いがたい印象です。デジタル技術で業務の変革を起こすことが主たる目的とされていますが、現場からは「その前にベテラン社員がメールを正しく使うことを指導してほしい」という声が聞こえるなど、DXをめぐる理想と現実には距離があるように感じます。

それとともに、DXに限らず、GX(グリーン・トランスフォーメーション=地球温暖化に寄与するビジネスへの転換)、SX(サステナビリティー・トランスフォーメーション=社会課題への貢献に向けた事業の転換)など、何でもXをつけることがブームです。何事も変革や転換が求められる時代ということなのでしょうが、そもそも時代は常に変わりゆくものであることから、トランスフォーメーションが必要なのは今に始まったことではありません。

DXにしろ、GXにしろ、設備やシステムを入れ替えるだけでは変革は難しいもの。尽きるところ、人間一人ひとりの意識変革が欠かせません。そして、この心を変えるということが何よりも難しいものです。いわば、JX(自分トランスフォーメーション)が求められるわけです。

(続く)
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2023年9月1日
(人としての成長を願う「器」VOL.139続き)

ある日突然、JXが求められたとして、すぐに対応できる人は必ずしも多くないはず。むしろ、変化に対する抵抗感の方が強いといえるでしょう。そこで、日頃から自らを変える習慣を身につけることが一手ではないかと思います。習慣を変えるというと大げさですが、まずはできることから取り組むのが良策です。

たとえば、毎日の晩酌が習慣の人は、週に一日でもノンアルコールで過ごすようにしましょう。飲酒なしでの朝の目覚めは気持ちが良いものです。もしくは、毎朝の起床時間を30分繰り上げるのもJXにつながります。朝の時間に余裕を持たせることは一日を有意義に過ごすきっかけとなります。浮いた時間はスマホではなく、本を手にするようにしましょう。分野は何でもかまいません。むしろ、それまで手にしたことのない分野の本を、たとえ15分でも読むことで意外な発見があるはずです。

こうして見ると、手軽にできるJXがたくさんあることがわかります。結局のところ、自分を変えるきっかけを見つけることで、新たな可能性に挑むことが可能となります。しかも、今すぐにでもできるところにJXの魅力、価値があるといえます。

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2023年8月15日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
「ビジネストークのネタ」VOL.138

●今また「備えよ、常に」

ボーイスカウトの標語としてしばしば引用される「備えよ、常に」。企業経営を考える上でも、この言葉は意識しなければならないものです。近年は「健全な危機意識」として語られることが多く、業績が好調なときであっても、危機意識を持って企業経営に臨むことが大切とされています。

2023年以降、世の中はコロナ禍が収束に向かいつつあり、ポストコロナの名のもとに経済が元に戻るものと思われています。インバウンド(訪日外国人旅行)にしても、コロナ禍前の水準に向けて拡大中であり、観光業界をはじめとして景気回復に対する期待は大きなものがあります。

しかし、経済がコロナ禍前に戻るかどうかは慎重に判断しなければなりません。経営のリスクは感染症のパンデミック(世界的流行)に限ったことではありません。むしろ、それ以上に気候変動や地政学的リスクに対して「備えよ、常に」が求められています。

ハワイ、マウイ島での山火事がもたらした甚大な被害は、まさに想定外の事態である一方、実際に起こってみると、そのリスクの大きさは十分予測できたものでした。乾期を迎えて異常に乾燥していた上に、ハリケーンによる強風が吹くという悪条件が重なったことで、いったん生じた火災は市街地を焼き尽くす結果となりました。

(続く)
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2023年8月15日
(「ビジネストークのネタ」VOL.138続き)

気候変動のリスクはハワイに限らず、世界中どこでも生じうるものです。日本では台風や豪雨が差し迫ったリスクであるのに加えて、地震もまたいつどこで発生しても不思議ではない状況となっています。そのため、ハザードマップでリスクを事前に確認することが必須といえます。

一方、世界経済もまた何やら不穏な動きを見せています。ポストコロナで急回復が期待されていた中国経済は、不動産不況が深刻な気配を見せつつあります。米国経済は力強いとされているものの、国の債務問題や不動産市況の下落がきな臭さを増しています。

日本はというと、平均株価が上昇機運にあり、一見、平穏を取り戻したかのような状況が続いています。このまま景気が回復基調に向かうと期待したいところでありますが、この瞬間、想定外の事態が起こりうるという危機感のもと、「備えよ、常に」をあらためて意識することが肝要です。

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2023年8月1日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
人としての成長を願う「器」VOL.138

●休養という仕事

先日、知人の会社経営者が50歳代で急逝しました。仕事の打ち合わせに出る着替えの最中にいきなり倒れて、そのまま帰らぬ人となりました。地元では由緒ある老舗として有名でした。一方で、父親の代まででふくらんだ借入金の返済に長らく奔走するなど、経営の立て直しに尽力していました。仕事柄、人付き合いを大切にしていたことから、飲酒の機会が多く、それが健康に影響したのかもしれません。

世間では働き方改革が盛んにいわれるものの、企業経営者や自営業者の多くは、無制限の労働時間のもと、心身をすり減らすように仕事をしている人が少なくないと思われます。「経営者は激務に耐えて当然」という意識が強い中、だれにも相談することなく、とかく無理をしがちです。しかし、流行語のサステナビリティ(持続可能性)を本当に考えるのであれば、経営者といえども、適切な労働時間と休養が欠かせません。

一部の経営者の間では「健康管理も仕事のうち」と、定期的にジムでトレーニングに努めたり、完全休養の日を設けたり、と工夫を凝らしている人がいます。一方で、「つきあいも仕事」とばかり、夜遅くまで飲み歩く人も少なくないようです。仕事における激務の緩和とともに、生活習慣の見直しもまたサステナビリティを考える上で大切なことです。

ある中小企業の社長は、それまで飲み会やゴルフのつきあいが多かったのに対して、経営再建を境に一念発起して、飲酒もゴルフも絶って、早寝早起きの生活へと一大転換しました。「それまでの人付き合いはほぼなくなったものの、実は経営には何の支障もなかった。むしろ、本業に注力したことで、仕事に関わる人脈が広がった上、長年の課題だった借金の完済につながった」と、この社長は述べています。

人間、元気に生きていてこそ、どんなことにも挑戦できるのであり、いうまでもなく健康管理は大切な仕事です。特にこの夏、熱中症アラートが発令されるほどの猛暑が続く中、必要に応じて休養をとることで心身の疲労を回復することが、経営者にとって不可欠です。
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2023年7月17日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
「ビジネストークのネタ」VOL.137

●DXが進めば進むほど必要なこと

大企業を中心に、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが進んでいます。しかし、先手先手で時代の先をめざしている企業と、とにかく何かに取り組まねばとようやく動きだしている企業と2極化している状況かと思います。この差は大きく、すでに競争優位の差として表れています。

DXというと、業務の全てをデジタル化することと思いがちですが、それが業務の効率化、収益性の向上につながるかというと、必ずしもそうではありません。そして、さらに考えるべきは、だれのためのDXかという点です。目先の効率性、収益性にとらわれるあまり、顧客満足という最も肝心な部分が見過ごされているDXもどきが見受けられます。DXの主たるプラットフォームであるアプリにしても、一応形にはなっているものの、顧客の目線では使いにくい、もしくは従来のサービスレベルを下げているものがないとはいえません。また、DXへの投資に片寄るあまり、人的投資を怠ることで本末転倒となりかねない点も注意すべきです。

(続く)
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2023年7月17日
(「ビジネストークのネタ」VOL.137続き)

その点、顧客との距離が近い企業では、顧客との関係を大切にする姿勢を活かして、デジタルとアナログのバランスを重視しつつDXを推進している傾向にあります。たとえば、顧客との接点ではアプリなどのデジタル化を積極的に推進し、24時間対応とする一方、店舗でのアナログな接客をさらに磨く努力を重ねています。加えて、業務の現場で働く人々に対するDXの教育研修に注力している点が特長です。

あるサービス業の経営者は、「世の中でDXが進めば進むほど、むしろ対人接客の質が問われるようになり、この点が競争優位を築く上で重要なポイントとなる」と指摘しています。そこで店舗での接客マナーを再検討し、さらなる向上に取り組んでいます。接客マナーの違いはほんのちょっとした声がけや気配りが大切である一方、それができるかできないかが差別化につながります。

結局のところ、DX推進においては経営トップの理解と積極的な関与が重要です。そして、トップの方針のもとで現場が自主的に考え、行動できる組織であることが欠かせません。名目だけのDX推進は現場を混乱させかねないだけでなく、顧客の信頼を失いかねない点に注意すべきです。

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2023年7月3日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
人としての成長を願う「器」VOL.137

●FIREブームの行く末

昨今の風潮として、いち早く資金を貯めて、会社を辞めることに関心を抱く人が少なくないようです。FIRE(Financial Independence, Retire Early)と呼ぶらしいですが、fireは「解雇する」という意味もあることから、なんとも皮肉な表現です。実際、FIREを達成した人が少なからず存在していることから、これに追随したいという若い人が多いのだろうと推測します。こうした価値観については人それぞれの考え方があり、どれが良い悪いということではありません。

FIREのためには、年間生活費の25倍以上の額を貯める必要があるとか、総資産を年4%で運用すれば、死ぬまで働くことなく食べていけるといった情報がネット上にあふれています。理屈としてはそのとおりだろうし、実践している人がいるのも確かでしょう。ただし、寿命が尽きるまでに何十年も決まった金額だけでやりくりできるわけでなく、家族がいる場合は特に、子どもの教育費や親の介護費用など先々に生じる費用のことを想定しなければなりません。FIREを考える人の多くが20歳代から30歳前半に多いとすると、その時点のライフスタイルがそのまま何十年も継続すると考えるのは無理があります。

仮に35歳で独身の人が1億円の資産を形成した後、FIREを達成したとします。株式投資や投資信託、不動産運用などで年利4%の運用益を上げ続けるとしたら、資産を減らすことなく、毎年400万円の生活費を捻出できます。年利4%以上の運用益を上げることで資産をさらに増やすことも可能です。しかし、これはあくまでシミュレーションとしての話です。年利4%を何十年にわたって持続的に実現できるかどうか、そう簡単なことではないでしょう。

(続く)
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2023年7月3日
(人としての成長を願う「器」VOL.137続き)

それとともに、人のライフスタイルは何かのきっかけで大きく変わるものです。もしかすると40歳を過ぎてだれかと出会い、結婚するかもしれません。子どもができれば、今どきは社会人になるまでに3,000万円規模の教育費が生じます。ライフスタイルの変化に応じて、住処を変える必要も出てきます。さらに、50歳を過ぎて親の介護の問題が浮上して、想定していなかったコストが生じる可能性が少なくないです。60歳を過ぎて自身の健康問題が起こることも考えておかねばなりません。

そして、FIREを考える上で何よりも重要なことは、自らの欲をいかに制御するかということです。資産がふくらむごとに一般的な人においては欲望もふくらんでいきがちです。FIREのために形成した資産を何十年にもわたって使い込むことなく、着実に運用していくのは相当な自制心が必要ではないかと考えます。もちろん、それができる資質を持った人がいることでしょう。しかし、だれもが強い克己心を持っているとは言えず、FIREをめざす上では、自らの性格としっかり対話してみることが必要でしょう。

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2023年6月15日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
「ビジネストークのネタ」VOL.136

●中小企業といえども、カーボンニュートラルに無縁とは限らない

ここ数年、上場企業を中心にカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量が全体としてゼロになっている状態)に向けた取り組みが急速に進んでいます。その背景として、2020年に日本政府が、2050年までにCO2などの温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言したことが挙げられます。コロナ禍で経済が混乱した中で、カーボンニュートラルは着々と進んでいます。

企業によっては、再生可能エネルギーなどの利用により、一部の事業所でカーボンニュートラルを達成したところも出ており、今後、排出権取引制度※の利用を含めて、取り組みがさらに活発になっていきます。事実上、環境問題への対応が企業の競争力の差につながっている状況であり、企業の多くが中期経営計画の重要課題に掲げているほどです。

一方、中小企業はどうかというと、カーボンニュートラルに向けた目標設定や計画を策定しているところが限られているといえます。工業炉などを有する、CO2の排出が多い製造業においても、対応はこれからといった企業が少なくないです。しかし、上場企業でカーボンニュートラルが進む中では、中小企業といえども無関心ではいられない状況となっています。

直接的な影響としては、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)と呼ばれる機関の要請による情報開示について注意しなければなりません。上場企業の多くはTCFD提言への賛同を行っているとともに、CO2の排出量の開示を始めています。これについては、「事業者自らによる温室効果ガスの直接排出」であるSCOPE1、「他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出」であるCOPE2、そして「サプライチェーン排出量」であるCOPE3に関して、情報を明らかにすることが求められています。

(続く)
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2023年6月15日
(「ビジネストークのネタ」VOL.136続き)

わかりにくい話でありますが、中小企業にとって重要なのは、「サプライチェーン排出量」であるCOPE3です。どういうことかというと、上場企業はサプライチェーン傘下の取引先に対して、CO2排出量を明らかにするように一斉に要請を始めています。現状では取り組みが進んでいるところで半分ぐらいの取引先から排出量に関する情報を集めているものと思われます。今後、数年の間には業種を問わずCOPE3に関する要請がほとんどの中小企業に届くことから、今からしっかり準備しておくことが欠かせません。

現状では「あり得ない」と言われるかもしれませんが、これから先、中小企業においてもカーボンニュートラルに向けた取り組みを進めていかないと、最悪の場合、発注元のサプライチェーンから締め出されるおそれがゼロではありません。

実際、自動車産業などでは、海外の顧客メーカーに提出する見積書の中に、納品する部品のCO2排出量を記載する欄が追加されるなど、COPE3対応といえる動きがすでに出ています。従来、コストと品質、納期が主たる競争要因であったのに対して、新たに環境負荷が追加されたことで、競争をめぐる動きが変わっていくことが予想されます。カーボンニュートラルへの対応が遅れると事業機会を失いかねない一方で、先手先手で取り組みを進めることで収益機会の獲得につながります。「うちはまだ何もしていない」という中小企業でも、少なくとも何が課題なのか、について調べることから取り組むことが大切です。

※国家や企業ごとに温室効果ガスの排出枠を定め、排出枠が余った国や企業と、排出枠を超えて排出してしまった国や企業との間で取引する仕組みのこと。

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2023年6月5日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
人としての成長を願う「器」VOL.136

●縁と運

これまでも何度か紹介したことがありますが、事業で成功した経営者にその秘訣を尋ねると、共通しているのは、「人との縁で道を拓くことができ、運が良かったので事業を広げることができた」という答えです。この点、先進技術を通じて事業を展開するベンチャーやスタートアップにしても、固有技術の訴求だけで成長できるとは限らず、やはり縁と運は欠かせないものです。

縁と運はいわば一体のものです。人との縁があってこそ、運が開けていくものであり、何もしないで幸運が舞い込むことはごくまれです。特に地域に根ざして事業を興そうとすると、自分の周りの人たちとの縁を大切にすることが必須となります。理想的な状態は、自分の周りに応援団となってくれる人を一人でも多く作り出すこと。応援団の数が増えるほどに縁が広がり、運が舞い込む確率も高くなります。

もっとも、縁を広げるのは人によって差があります。人付き合いが得意な人は自然と縁を広げていく一方で、人付き合いが苦手という人にとっては縁を広げることが容易ではないかもしれません。しかし、縁を広げるというのは単に他人に愛想を振りまくことだけではありません。商売、ビジネスの根本である「だれかの役に立つ」という姿勢を貫き、日々の中で実践することにあります。どのような事業であれ、顧客や取引先をはじめとして自らを取り巻く関係者が少なくない中で、たとえ小さなことでも役に立つことを考え、実行していくことが必ず縁結びにつながります。

(続く)
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2023年6月5日
(人としての成長を願う「器」VOL.136続き)

小売業やサービス業であれば、開店前に必ず店の前の清掃を行う。それに合わせて、両隣の人たちにあいさつをする。こうした当たり前の習慣を身につけることで、人付き合いの得意、不得意にかかわらず、縁結びの基本ができるようになります。また、フリーランスのように自宅で仕事を行うために人との縁を広げるのが難しい場合でも、電話やメールの応対一つで好印象を残すことができ、それが新たな縁へとつながることが少なくないものです。

もし自ら考えるのは難しいということであれば、縁結びが上手と思われる人に学び、できるところから真似をすることが一歩となります。今どき「我以外はみなわが師」などと言うと古くさいと思われるかもしれませんが、人に学び、よいところをどんどん吸収して実践することが、実は縁と運を招く一番良い方法なのです。

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2023年5月15日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
「ビジネストークのネタ」VOL.135

●「らしさ」の追求による脱安売り経営

昨今、物価の上昇がしばしば話題になっています。デフレがおよそ30年にわたって続く日本では商品やサービスの価格を上げることが、マスコミを通じてあたかも罪悪のように伝えられることが多く、違和感を禁じ得ません。商売の根幹は売上げを上げるとともに、適正な利益を得て、事業を長く継続することにあります。適正な利益を獲得できなければ、仕入れ先への支払いや従業員の給与支払いが見込めなくなります。ごく当たり前のことへの気づきを欠いた「値上げ罪悪論」を打破するためにも、事業者は付加価値の追求によって収益性を高め、従業員や仕入れ先、さらには株主、社会への公正な分配に尽力しなければなりません。

全国津々浦々、「うちの商売は儲からない」という話をよく耳にします。その一つひとつに耳を傾けると、厳しい販売競争の中での値引きが実態として浮かび上がってきます。「他社が安い見積りを出してくるので、合わせざるを得ない」「近隣の同業者の価格帯が下がる一方なので、うちも値下げした」「値上げをしたいが周りの空気としてとても無理」などという声を聞きます。厳しい現実に直面しているのは事実ですが、残念なことに値引き競争から脱却する工夫を聞くことは少ないです。経済が成長局面にある中では、低価格で販売を伸ばすのは一手かもしれませんが、経済が縮小に向かう中で低価格販売を続けていては先が見通せなくなってしまいます。

(続く)
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2023年5月15日
(「ビジネストークのネタ」VOL.135続き)

ある地域密着の印刷会社は、基本的に見積りを下げることはしません。実際のところ、値引き要求が来るものの、正当な理由のない値引きは行いません。その代わり、コストを抑えるために紙質の変更、印刷効率の良い方法などの提案を積極的に行います。また、顧客が何を求めているのかを常に探り、印刷ではない手段を提案することもあります。場合によっては商売にならないことがあるものの、顧客目線での提案が支持されて、「ほかよりもやや割高だけど、ここに頼みたい」という固定客を獲得しています。

今後、インフレ傾向が続くと思われる中で、安売りからの脱却が必須の経営課題です。競争力を高め、収益性を向上させていかなければ、企業経営は本当に厳しい局面に陥りかねません。差別化、競争優位の確立というと、何やら難しい話になりがちですが、尽きるところ事業者としての「自分らしさ」をいかに打ち出していくかにかかっています。「らしさ」の中には「商売をする上でここは絶対に譲れないもの」があります。それは何かを突き詰め、磨き上げていくだけでも「らしさ」を前面に出すことができます。一方、「らしさ」を追求にしようとすると、時には商品やサービスの一部を断念しなければならないことも出てきます。しかし、それこそが経営者としての覚悟を示すときであるとともに、本当に大切にしなければならない顧客の支持を得る上で欠かせない判断となります。

どんな商売にも必ず「○○らしさ」があるはずです。「うちは平凡な商売で特長はない」というところほど、「○○らしさ」を真剣に考えるべきです。たとえ小さなことでもほかにはない価値を洗い出し、それを磨き上げることがきっと「○○らしさ」につながっていきます。むしろ「どことも差がない商売をしている」ところほど、「らしさ」の追求で大きく様変わりする可能性を秘めているといえます。

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2023年5月1日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
人としての成長を願う「器」VOL.135

●小よく大を制す

大相撲の解説などで、小兵が技を駆使して巨漢力士を倒した場合、「小よく大を制す」といわれます。柔道では「柔よく剛を制す」という言葉で、強者を相手に柔軟性をもって勝つことを意味する類似の表現が用いられます。いずれも格上の相手に勝つ場面に対して、ファンは声援を送りたくなるものです。

「小よく大を制す」は、企業経営の世界でも起こりえることです。むしろ、「柔軟性のある組織で勝つ」のは、中小企業の得意技であるかもしれません。企業が大きくなっていくと、それだけ強くなると思いがちですが、必ずしもそうではありません。組織が肥大するにともない硬直化して、意思決定が遅れたり、フットワークが悪くなったりということが起こります。実際、「大企業だから安心して頼んだわりに、アフターサービスがいまいち」などという声を耳にするものです。もちろん、中小企業だからすべてフットワークがよいとはいえませんが、経営トップが決断して組織がすぐに動く社風のところでは、「小よく大を制す」の動きが活発です。

(続く)
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2023年5月1日
(人としての成長を願う「器」VOL.135続き)

近年、上場企業の多くが中期経営計画の中で、「事業ポートフォリオの再構築」といったテーマを掲げています。これが意味するところは、既存の事業で経営をまかなっているものの、先々を考えると成長がおぼつかない、もしくは業績が落ち込んでいきかねないことへの危機感です。そこで、事業ポートフォリオ=事業のパッケージリストを組み替えて、より収益性の高い事業を組み入れることが「事業ポートフォリオの再構築」です。

大企業がどこもかしこ「事業ポートフォリオの再構築」を唱える中で、うまく進んでいるところとそうではないところが顕著に出てきています。苦戦している企業にありがちなのは、巨大化した組織が柔軟性を失っている点です。トップが危機感を持って事業のあり方を変えようとしても、長年にわたって既存事業で働いてきた従業員の気持ちを変えるのは容易ではありません。人によっては「事業ポートフォリオの再構築によって、自分の仕事がなくなるかもしれない」という後ろ向きの気持ちを抱きがちです。

その点、「小よく大を制す」といわれる通り、規模の小さな組織の方がどちらかというと、事業のあり方を柔軟に変えることが可能です。経営者と従業員の距離が近いことから意思決定を共有しやすい面がありますし、お互いが危機感を持って新しいことに挑戦することが容易だといえます。もっとも、そこには経営者の強い覚悟とリーダーシップが欠かせません。既存事業を捨ててでも新たに挑戦するのは相当な覚悟が必要です。それでも挑戦し続けなければ、生き残ることができない。「小よく大を制す」には深い意味が含まれています。

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2023年4月17日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
「ビジネストークのネタ」VOL.134

●ちょっとしたことが競争優位

同じ上場企業であっても、知名度が高く、就職活動の学生に人気がある企業がある一方で、経営者自ら「うちはやっていることが地味で知名度がない」というほど、知られていない企業があります。どちらかというと、B to B(企業間取引)の企業でその傾向が強いようです。しかし、「地味で知名度がない」企業の中には、まさに地味に底力を蓄えて着実に成長しているところがあります。こうした「地魅力企業」に共通しているのは、ほかにはない強みがある点、それを活かして持続的に成長している点。そして何より注目すべきは従業員の定着率が高い点です。

近年、企業の中には従業員の離職が大きな問題となっています。コロナ禍前は新入社員の退職率が「3年3割」などと言われたものですが、ここにきて「3年3割」どころか、「3年5割、6割」などという極端に高い離職率に直面している企業があります。こうした状況の中、低い離職率は事業における競争優位の一つとなっています。従業員が長期にわたって業務を担当することで、仕事の知識やノウハウを継承することができる上、対顧客という点でも課題に対して腰を据えて取り組むことができます。日本においてもようやく人材流動化に向けて一気に動き出している一方で、だからこそ従業員が日々安心して仕事に取り組み、自らの成長をめざせる環境を提供できるかどうかが経営の大きな課題です。

(続く)
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2023年4月17日
(「ビジネストークのネタ」VOL.134続き)

「地魅力企業」の経営者に話を聞くと、「ちょっとしたことが競争における差につながる」という話をしばしば耳にします。「ちょっとしたこと」とは何かというと、面倒なこと、難しいことにいかに一歩を踏み入れるかどうかにあります。顧客との会話の中で「こんなことで困っている」「こんなことはできないか」という話題が出た際、「面倒そうな話だから聞き流そう」と思うのか、「うちにできることを提案させてください」と前向きにとらえるか、の違いです。面倒なこと、難しいことに立ち向かうのは、実際のところ簡単ではないものの、まずはそこに足を踏み入れるかどうかが、後々の大きな差へとつながっていきます。

ここでも大切なことは、従業員が心のゆとりをもって業務に取り組んでいることです。日々の仕事やノルマの数字に追われていては、顧客が求める要請に応えることなどできません。課題に腰を据えて取り組めるだけの余裕を組織としていかに生み出していくか、ここが経営者にとって真剣に考えなければならない課題であります。

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2023年4月3日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
人としての成長を願う「器」VOL.134

●何もかもが変わっていく

新たに社会人となる皆さん、おめでとうございます。社会人としての新たなスタートを切ることは、人生の中でも大きな節目の一つです。これからは、学生時代とは違った環境や社会での生活が待ち受けていますが、自分自身の成長や将来のために、全力で取り組んでいきましょう。
新たなスタートを切る皆さんには、自分自身のやりたいことや目標を見つけ、夢を持ち続け、自分自身を磨きながら、周りの人たちや社会に貢献できるよう、全力で取り組んでいただきたいと思います。社会人としての新たな道のりが、皆さんにとって輝かしいものであることを心から願っています。頑張ってください!

上記の原稿は、実はChatGPTに書いてもらった「新社会人への応援メッセージ」です。特定のアルゴリズムに基づく一つの人工知能モデルのなせる技ですが、すでにここまで来ています。しかも、ここから先、AI技術はとんでもない早さで進歩していきます。

(続く)
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2023年4月3日
(人としての成長を願う「器」VOL.134続き)

ここ数年、「○○元年」という話をよく耳にします。「人工知能活用元年」をはじめ、「電気自動車(EV)元年、もしくは自動運転元年、空飛ぶ自動車元年」「量子コンピュータ実用元年」「核融合テスト元年」「AIアーティストデビュー元年」「男性従業員育児休暇促進元年」「ダイバーシティ定着元年」「プロ野球二刀流絶賛元年」「マイクロシネマ元年」…、さらには「第3次世界大戦前元年」という物騒なものもあります。

いずれのテーマにしても元年かどうかはさておき、一ついえることは技術も社会も、そして個人も劇的に変わってきている、もしくは変わらざるを得ない時代を迎えているという点です。その中では、ありとあらゆる既成概念が音を立てて崩れていくかもしれません。平日は毎朝決まった時間に出社する通勤観念であったり、大企業に入社すれば一生安泰といった就職神話であったり、会社が定年まで面倒を見てくれるという終身雇用制であったり、日本の会社の上司は日本人という組織体制であったり、とにかく良くも悪くもさまざまな価値観が転換期を迎えています。

実は恐れるべきは、こうした変化の到来ではありません。変化が目の前に来ているにもかかわらず、変化に気がつかない、もしくは意図的に気づこうとしない姿勢こそ、真に恐れなければならないことです。そして大切なことは、変化をいち早く察知し、自らの進むべき道を決めることです。変化を座視しているだけでは、確実に取り残されかねません。

逆に、考えようによっては、変化を大きな機会ととらえて、飛躍に挑む。いわば一大チャンスの時代が到来しているといっても過言ではありません。変化についていくのではなく、自ら変化を起こすぐらいの気概が、今求められています。
We’ll have changed the world.(映画「Monyball」の一節)

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2023年3月17日
ウエルビジネスデザイン・コラムシリーズ
「ビジネストークのネタ」VOL.133

●対話型AIの功罪

対話型AIがさまざまな意味で、人間社会に影響を及ぼしています。昨年11月、対話型AIの「ChatGPT」が一般向けに公開され、たった2カ月で利用者が1億人を突破しました。登録すれば、だれでも無料で利用できることを背景に、普及の速度はまさに驚異的です。

「ChatGPT」のすごさは、あたかもだれかが答えているかのような、質問に対する自然な回答にあります。また、ネット上にある情報を拾い出すだけではなく、それをもとにして回答を創り出す点が強みです。たとえば、「健康によい菓子を開発したので、キャッチフレーズを10案ほど考えて」と質問すると、いかにもそれらしい案をたちどころに答えます。また、「飲食サービス業の経営課題」を聞くと、人材確保や食材調達、コスト管理など、数項目における課題を瞬時に答えます。従来、ネット検索を通じて、時間をかけて調べた手間がなくなり、ビジネスにおいては、顧客に対する企画書の作成が格段に早くなる利点があると考えられます。

情報の検索にとどまらず、プログラミングにおいても「ChatGPT」は圧倒的な強さを発揮します。ある条件を指示してプログラムを要求すると、その内容を理解した上でコードを返してきます。すべてにおいて完璧ではないものの、利用の仕方によっては省力化、効率化に大きく貢献できるものとなっています。今後、ソフトウエアの開発のあり方を変えていくことになるかもしれません。

(続く)
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2023年3月17日
(「ビジネストークのネタ」VOL.133続き)

一方で、だれでも利用できることから、情報やアイデアに対する差別化が難しくなっていきます。たとえば、今後、大学のレポートで「ChatGPT」に書かせたものが提出されるおそれがあります。また、「ChatGPT」の答えがすべて正しいと判断することが利用者に求められます。実際、一見正しい回答のようでありながら、現状では間違った内容が少なくないです。さらに長期的には対話型AIに頼ってしまう問題が生じるかもしれません。ネット上では、「ChatGPTは便利だが、頼り切りになった後、高額な利用料を請求されたらどうする」といった懸念の声が出ています。

この先、対話型AIは驚異的な進化を続けるのは間違いないでしょう。しかし、だからといって人の思考を代替するものとはならないと考えます。むしろ、対話型AIが普及する時代にあって、地頭を鍛える努力がますます大切となっていきます。

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